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Sept
2003 11:56PM from Takashi Kojima re:国家と身体 |
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こんにちは。塙さん。
ついこの間まで、猛暑でしたが、すっかり秋になってしまいましたね。
自身のライブや私が働いている大阪アーツアポリアのライブイベント、鈴木昭男「アナラポスフィア」の準備ですっかり風邪をひいてしまいました。辛い也。
今回の「アナラポスフィア」はこれまでの氏の代表的な作品(音具)の一つである「アナラポス」に焦点を当てた展覧会でそこで発せられる音はまるで身の回りの空気がよじれて音がでるような感じです。アナラポスはを少し説明すると、約30年前に昭男氏が作った創作楽器で、その原理は糸電話の糸がバネになっており、そのバネをいじることで電話口のところから不思議な音が出るというモノ。今回はアナラポスの様々なタイプの展示(もちろん観覧者が演奏できることはもちろんのこと)、それにまつわる音源や雑誌の切り抜きなどの展示もされており、まあとにかく圧巻です。
大阪築港のレンガ倉庫での展示ですが、ここでアナラポスの音を聴くと、大阪が港湾都市であることを気づかせてくれます。暇なときにでも一度遊びに来てください。
ところで、ソフトな共同体とハードな国家ということで、少し思い出したことがあったのですが、僕が音楽を教えている某学校で、学生と作品制作について話していたときのことをお話しようかと思います。というのも、彼は大学を卒業後、2年間アフリカ全土を貧乏旅行で過ごしていたそうで、行けなかったのは最終的に4カ国だけだったと語る彼曰く、「コンゴほど、都市部と地方の差があまりに激しい国はなかった」と語っていました。とにかく都市部の治安の悪さは激しく、何度も街で警官に呼び止められ、いろんなイチャモンをつけられながら、賄賂を要求されたり、強盗やスリの危険が常にあったそうです。
ところが、都市部を離れると、あまりにも親切でフレンドリーまるで家族のように接してくれ、日本からの旅行者にとっての気持ちよさはアフリカの中でも随一だったそうです。マラリアに罹った彼を、ある田舎の一家がずっと看病してくれて、治るまでその家にお世話になったり、栄養をつけるためにということで大切な家畜を彼のために料理したりと、ずいぶん苦しい思いをした時期にコンゴに助けられたとまで言ってました。
旅行者をまるで古い友人のようにもてなす部分とまったくの他人として暴力で強引に奪い取る部分の両面、つまり昔ながらの身体性に基づく生活をしている地方と国家としての仕組みがうまく回っていない都市部との人間の精神的な格差(と呼ぶべきなのか)を彼は身をもって知ったそうです。
その精神的な格差は資本主義経済の中で地方出身者にとって、出稼ぎをするための都市がその需要を補えないことに原因があるとまで彼は断言していましたが、ある意味それは塙さんが言ってることにすっぽりあてはまるのかと思い出したわけです。
なんか、そんなことを書いていると、ずいぶん前に塙さんが言ってた、「コンゴは大阪みたいやで」という事をまた思い出してしまいました。地方の人なつっこいというか、世話焼きな感じはなんか、ちょうど俺が住んでいた阿倍野周辺の下町風景の事だし、都市部の怖い感じは中学生の頃おそれていたヤンキーの兄ちゃん達を連想してしまいます。(もちろんそのスケールは全然違うんですけどね)ちょうど、MIMIフェスティバルのオーガナイザーも「コンゴと大阪は似ているぞ。」ってなことを昨年の来日中にウチで話していたことも思い出しました。
頭の中に知識が豊富になって行きながらも、その感覚を大阪にすり替えてイメージするその先にあるコンゴ共和国はますます興味深くなっていくのでした。
kojima
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