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+ 小島剛(こじまたかし)

大阪在住の音楽家。主にmacintoshとプログラミングソフトmaxを使って即興音楽を中心に国内外で活動中。

+ 塙狼星(はなわろうせい)

1963年生まれ。人類学を専門とするアフリカニスト。中部アフリカの旧ザイール、コンゴ、カメルーンが主なフィールド。アフリカの踊りと音楽をこよなく愛する。

Nov 2003 1:03AM from Takashi Kojima  ferdinand曰く

小島です。

すっかり寒くなり、もう晩秋に近づきつつありますが、お元気でしょうか?

実は、赤レンガ倉庫内は夏の間に溜められた暖かい空気がいまだに閉じこもっていて、夜でも結構暖かいです。
これから12月にかけて急に寒くなり、その後1月からは底冷えの空間と化します。

さて、今回はちょうど最近発行された雑誌の話題を書いてみたいと思います。
その雑誌はいろんな最先端(?)の音楽を紹介している"wire"という英国の音楽雑誌なんですが、それを読んでいるとちょうど僕らが参加したフランスの”MIMIフェスティバル”の記事が載っていたのです。
で、そこではフェスティバルの内容はともかく、オーガナイザーのフェルディナン・リシャール氏の興味深いインタビューが掲載されており、彼が語るMIMIフェスティバルは、ちょっといままでのオーガナイザーの発言とは少し違っていました。

 彼は、まず、このフェスティバルはあくまでスタッフにとってはお金を稼いで生活をするための仕事にすぎない。プリプロダクション(いわばコンサートの裏方)のシステムをマルセイユのスタッフと共に作りあげるための仕掛けであると言い切っているのです。僕にとって音楽のアウトプットにこだわらない彼のフェスティバルの姿勢がそれでクリアーに出来たんですが、僕が体験したフェスティバルとは、そのコンサートの場所、メシのうまさ、スタッフの対応の良さなど、そういう部分がなぜこれだけ印象に残ったのかというと、おそらく良いコンサートをするためのフェスティバルではなく、気持ちよく過ごせる時間をみんなで共有できたからなんですね。きっと。
その証拠にボランティアが50名以上という数で参加していました。(ちなみに彼らは音楽が重要なのではなく、ほとんどが、そこでみんなで一つのモノを作り上げることに興味があるヨーロッパの老若男女でした。)

 で、その上で彼はこうも言ってます。「実は有名な音楽家の演奏が聴けたり、お祭りをすることには興味がなく、興味があるのは『誰が、どこから来て、どこに帰り、その情報を地元に伝えていく・・・』という演奏家やスタッフ、観客を含めた人の動きだ。」というのです。

 ああ、これって塙さんが研究していることそのままじゃん。
 塙さん言ってたことそのままモデルケースのように実践していますよ。

 その発想を受け継いで、キンシャサで"MIMIsouth"を行うという・・・、なんか、前にも塙さんから聞いていたミュージシャンズネットワークの話が、マルセイユの音楽のためのNPO団体でそのまま実践されているようです。それを学術的に研究できれば、実は塙さんにとっても彼らにとってもおもしろい展開になりそうな気配がしているんですが・・・。
どうでしょうね。
赤レンガでイベントをディレクションしている俺にとっては、フェルディナンの発言は間違いなくインパクトのある発言でした。

というわけで、返事お待ちしております。

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