—私なんかは、身のこなしは身につけたいとは思いますが、おさらい会なんかは絶対出たいとは思わないんですけど…。人前で何かするのって怖いし恥かしいし…。
若禄之「それが、ねえ、舞台は何とか(魔物)って言いますでしょ(笑)。
そう言ってたお弟子さんが一度舞台に立つと“次は何をさせて頂けますでしょ?”と言うのはよくあることです(笑)」
—(笑)舞台に立つこともそうですが、色々伺うことで、いい年をして何も知らない自分をさらすのも恥かしい、そんな気持ちがあったりするんですね。
若禄之「今から10年経ってご覧なさい。ああ、あの頃は若かったって今を思うようになるのですよ。だから、人生の中では今この瞬間が今は一番若いということなんです。だったら、気付いた時に始めなければ、考えれば考えるほど年がいって余計恥かしくなるだけですよ」
—ああっーー。そう言えばそうですね。本当に。今までそんな大切なことに全然気付きませんでしたわ。
あのー、これは私的なやり方かもしれませんけど、思い切って先に入門する先生に何が幾ら位かかりますか?って伺うのもいいのかもって思います。
どうしてもその先生に入門したいのなら、それはその先生のやり方にあわせる。また、自分の予算の都合を優先するなら、納得するまで出会いを求める。
先生のように現代にあった教え方や提案をしていこうと努力して下さる先生がいらっしゃることを知って私は正直ホッとしているというか、嬉しく思いました。
知らないから恥かしいとか思って何もしないより、舞を教えて頂くように、習うということからまず教えて頂くようにすればどうだろうと思えました。
若禄之「私は先代のお家元から山村流の舞だけでなく、その品格のあるお人柄と接することから、色々と素晴らしいことをお教え頂き、とても感謝しています。山村の舞を伝えることで、そのご恩を山村と当代のお家元にお返しして行かなくては…と思います。
山村流には大曲もありますが、“十日戎”みたいな、大阪の暮らしに根づいた歌を手のあやで見せたりする短い楽しいものも沢山あるんですよ。
そうした上方の文化である上方舞を1人でも多くの方に知って頂けたら嬉しいですね」
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