|
|
|
(I)SALON de AManTO(天人)
http://www.yura-ism.com/amanto/
【立地】
北区中崎西一丁目。阪急梅田駅周辺の繁華な地域(LOFTをはじめとする若者向けの店舗がひしめく区域、および予備校〈ECC予備校〉や専門学校〈ECCコンピューター学院〉があり、そこには若い人が多く行き交う)から東に歩いて、十分から十五分程度のところにある。周囲は、前の戦争時に焼けることの無かった民家が細長く入り組んだ路地と一緒にそのままひしめく住宅街である。駄菓子屋もあり、繁華な地域からすると、タイムラグを感じさせる雰囲気が漂う。
【成り立ちの経緯】
パントマイムや大道芸など、西日本を中心に全国でパフォーマンスの活動を行ってきた通称JUN(本名は西尾純)が発案者。2001年5月頃より7月26日(マヤ暦の元旦)のオープンを目途とする期間行われた空家再生パフォーマンスがそもそもの始まりである。JUN自身、もともと己のパフォーマンスの練習場を欲していたこと、のみならず、広く表現者に対し開かれており、さらに表現者に限らぬ様々な個性の持ち主が集まり互いに交流する中で新しく文化が創られてゆく公園のような空間が必要であると考えていた。そんな折、中崎町を訪れたJUNは、まさに自身が理想とする場であると直観し、築百年の、人が住まなくなって以来十年が経つ空家を安く借り受けて、再生パフォーマンスを開始したのである。工程は全て公開。その際、幾つか原則を立てた。JUNの書いたものよりそのまま引用する。「(1)材料は買わない。壊した建材を選別してそれで出来るもので空間を創造していく。釘は叩いて延ばして又使う。竹小舞の竹、藁縄も再利用、土は水で練って壁に、余った土は土のうにいれ床下に保存。どうしようもない木っ端はバーベキューをして炭に、又回収して床下へもどす。ゴミを減らすからゴミゼロを実現。必要なものは地域に呼びかけ不用品をもらう。地域の不用品を取り込む事で地域レベルでゴミが減る改装が実現した。(2)地域の智恵の活性化。地域のお年寄りや通りすがりの人が、大工、電気、水道など必要なことは教えてくれる。道具や建材まで提供され昔の大工道具、左官道具、洋式便器、漏電ブレーカーなど設備に関するものも全て頂き物だ。(3)資金調達。ある画家の提案でそれでも現金は必要だろうと天人の改装資金調達のため絵を提供してくれた。改装中、淀屋橋ゴッホ展「あまく、けだるい夢」を開催。展示即売が始まる。そのほか絵本読み聞かせ会、ミニコンサートなど多くの人が資金作りに協力してくれた。改装の現場がサロンとして機能する。」改装パフォーマンスの期間中訪れた人の数は1000人を超えた。なお、JUN本人は、7月26日を前にして電ノコで大怪我をし、改装パフォーマンス続行を断念せざるを得なくなる。けれど、「奇跡が起こった。この地で出会った見知らぬ人々が私の代わりに改装を引き継ぎ。数十人がかりで店を26日にオープンしてしまったのだ。」(注3)こうして、天人は、JUN本人のパフォーマンスの範囲を越えて、そこに集まる人をも巻き込んでオープンしたのである。オープンして後、町の運動会に参加したり、秋祭りで御輿を担ぐなど、地元とのつながりにも気を配っているとのこと。
【活動内容】
常時カフェとして開放されている。集まる人は、お茶を飲んだり食事をしたり、話をしたり本を読んだりと、思い思いに過ごしている。カフェは、改装パフォーマンス中、来てくれた人にお茶を出していて、それがそのまま改装後にも継続する具合にして始まった。もともと木造民家だったため、居心地の良い空間である。(注4)そこでは、ライブや映画上映会、食事会などイベントが催される。また、イタリア語、茶道、整体など、文化教室も常時催される。そういったイベントや教室については、何かやりたい意欲、あるいは何か教えることの出来る事柄を持つ人ならばだれであれ、行うことが許されるといった具合に、あくまでも自己責任で行える人に場を提供するかたちで催される。天人はあくまでも公園であり、発案者であるJUNは、あくまでもそこに居る多くの者の一人に過ぎない。天人では、そこに集まる人同士の水平的なつながりの形成が重視される。なお、現在展開されているイベントや教室についてはホームページに詳しい。また、どんなことが行われるのか、はっきりとした目標をあらかじめ設定するのではなく、集まってきた人たちのつながりにおいて発生するエネルギーを、その都度活かし形にするといった具合に、これからもイベントや教室等、自然発生的に増殖するだろうとのこと。最近天人付近には、空いた長屋の一角が新たに借りられ(2002年12月)《てらこや(地球子屋)天人》と銘打った、別の活動拠点も形成された。ここでは、文化教室に特化した活動が展開するとのこと。 |
|
|
|