log osaka web magazine index

アンケートの声から

 第三夜のアンケートをご紹介する前に、第一夜の「アンケートの声から」について、ご意見をいただきましたので、ご報告いたします。

ペンネーム・田舎櫻さんのアンケートから、

「前シテは、最初から強かった(謡が)のではないかと感じました。唐織と、いきなりあの強さはちょっと違和感を覚えたのは私だけでしょうか?あとはよかったとお思いますが、矢が刺さる場面、リアルすぎませんか?ああいう型なのでしょうか?地謡、囃子のエネルギーに、この舞台にかけたエネルギーに感動しました。(以下省略)」

このご感想に対して、私は、

「唐織を着けたシテ、つまり女性のシテなので、強い地謡に違和感を覚えられたということでしょうか。賛否両論あるでしょうが、ああいうのもアリかな、と思います。どうかなぁ、いずれにしても、主張のある地謡でした。(以下省略)」

と、お答えしたのですが、ちょっと勘違いしていたようです。

 後日、田舎櫻さんから、メールを頂戴いたしました。
 田舎櫻さんが「強い」とおっしゃっているのは、あくまでもシテ(前)のことだったのだそうです。
 失礼いたしました。
 御意見のメールで田舎櫻さんも書いておられましたが、故・8世観世銕之亟を髣髴とさせる片山清司の地謡…だからこそ、<花形能舞台>では、3回とも彼を地頭として迎えたのです。
 番組上は、どうしてもシテがまず一番に目立ちますが、地頭を誰にするかは、その日の舞台を左右する重要なキャスティングです。
 3回も公演するのですから、地頭を交代でやって変化をつけるのが普通のやり方かもしれません。
 しかし、<花形能舞台>の地謡を作ってもらうために、敢えて、片山清司という役者に3回ともお任せしました。
 そこに、出演者一同、制作側の私も、どれほど彼の地頭としての資質と技術に期待し、信頼しているか、おわかりいただけると思います。
地頭をすべて片山清司にしたことで、<花形能舞台>のカラーが決まったと言っても過言ではありません。

 そこで、件の田舎櫻さんのアンケートです。
 謡のことに触れておられるので、ついここぞとばかりに読み違えてしまったのですが、私としては、正直申しますと、「もっといいはずだ」という気持ちがあったのです。
 もちろん、よかったのです。
 ですが、微妙に…。
 諸事情により、申合せ(もうしあわせ=リハーサル)を本番の直前にしなければならなかったこと、つまり、短時間に、2回全力で謡わなければならなかったことも原因の一つかもしれません(もちろん、出演者はそんな言い訳はしていません)。
 囃子、地謡とも「情熱を感じた」「エネルギーがあってよかった」という御意見が大半を占める中で、「力が入りすぎてしんどかった」という御意見が散見されたことも事実です。

 田舎櫻さんの真意を読み違えてしまったことはお詫び申し上げますが、私にとっては、たいへん有難く嬉しい反応でした。
 田舎櫻さんのように、片山清司の地謡に注目し期待する方々がどんどん増えてきているのを実感するこの頃です。
 ありがとうございました。

 
    [ 3/5 ]