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 さて、今回は、元NHK演芸プロデューサーの棚橋昭夫さんと、天満宮前の小料理屋の女将・松尾豊子さんに多大なるご協力をいただいた。
 この対談が実現したのは、偏に、このお二人のお蔭である。
 棚橋さんと松尾さんとのご縁については、やはり、「ぶちの独り言」の“ごあいさつがわりに”に書いているのでご一読いただきたい。
 ともかく、<けったいな縁>で知り合ったばっかりに、日頃から何かと私に迷惑をかけられることになってしまったお二人だ。
 大阪天満宮前、相生楼(あいおいろう)。
 現在、川端康成の生家跡に建つ創業150年の老舗料亭だ。

 予想どおり約束の時間の前に、米朝師匠ご到着。
 棚橋さんを相手にしばらく懐かしい話に花が咲く。
 法善寺横丁の話から始まって昭和10年代の芸人さんの名前や芸、寄席の様子、吉村雄輝さんの話、ラジオの放送現場のけったいな人々…そして、なぜかお墓の話?
 りっぱな対談がもう一つできてしまった。
 おまけにするのはもったいないので、いずれまたまとめさせていただこう。。

 (そわそわ…)
 やっとお待ちかねの駒香姐さんがご到着。
 お座敷にお姐さんが現われたとたん、なんとも言えない華やいだ空気が漂う。
 一流の芸妓として花街に生きてきた女性だけが身にまとう、独特の雰囲気だ。

駒香姐さん(以下、お姐さん)「この度はまた、ありがとうございます。こんな、呼んでもろて」
米朝師匠(以下、師匠)「やあ、お元気で結構で…」

 文字にすると、いたってあっさりした挨拶だが、お姐さんの姿が見えたときの、師匠のお顔の嬉しそうなこと。
 まだ一滴も呑んでいないのに、頬を紅潮させて、まるで初恋の人を前にした少年のようだ。
 意外なことに、このお二人、面と向かって会うのははじめてだそうだ。
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