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上村「私は、この世界に入門前、一番始めに興味を持ったのは舞台美術だったんですよ」

山村「そうですか。僕も今でも舞台機構を見たりするのは好きですね。吉弥さんは、色んなジャンルの舞台をご覧になっていますよね。宝塚も?」

上村「ええ、好きですね」

山村「何歳位から?」

上村「歌舞伎を見始めてからですね。色んな世界を知りたいから・・・」

山村「絶対、色んなジャンルのものを見る方がいいからね」

上村「見終わったあと、花の道を歩きながら、舞台の歌を口ずさみたくなるような楽しさがありますね」

山村「僕は花の道は歩けないんですよ。僕だけかな?」

上村「どうして?」

山村「あそこの生徒も歩けないですよ。あそこの道は高くなってますでしょ。その下を、どういう方が通られるか分かりませんから」

上村「なるほどねえ。宝塚を見ていると舞台の本当に端の方の人達が一生懸命やってられますでしょ。絶対に手を抜かない。そういう子は、次、新人公演とかで必ずいい役がついていましたね」

山村「そう、こーんな端っこにいてもね。そういう子は目がいくね」

上村「そういう人達を見るのが好きですね。楽しみだし、自分自身も励まされます」

山村「宝塚で振りをつけてると、向こうってカウントでしょ。だから、ピタッと揃ってくるんですよね」

上村「歌舞伎はそれはないですものね」

山村「そう、古典ってそれがないじゃないですか」

上村「先生はそれは揃わない方がお好きなんですか?」

山村「ええ。それが、その人の色やから。その色が舞台に立つ人の個性やから」
上村「光っている人はどこかはみ出てる?」

山村「うん。天海祐希は初舞台の時、一人だけ本気で笑ってた」

上村「皆は緊張して、それでも笑わないといけないから無理矢理笑ってるのに・・・」

山村「そう、凄いと思った(笑)」

上村「凄いですね。私は、はみでて不器用ですね」

山村「そんなことはない」

上村「今も梅川で、こよりを下駄に入れられない」

山村「その不器用と役者としての不器用はまた別でしょ」

上村「覚えも遅いですし」

山村「でも、一回覚えたらずっと覚えてはるでしょ」

上村「・・・覚えてない(笑)、あっ、それを言っちゃあいけない?(笑)」

山村「(笑)せっかく、思いっきり、物凄く、持ち上げたのに・・・」

上村「いえいえ、そうですね、いや本当、梅川はすーっと入っていけました。昔教えて頂いたものはちゃんとあったみたいです(笑)」

山村「どっちかみたいですよ。すぐ覚えんねんけどすぐ忘れるか、なかなか覚えないけど入っているか・・・」

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