上村「我々は大体25日間舞台を勤めておりますでしょ。先生は大体一回。その舞踊会とかのプレッシャーからくるストレスって大変なもののような気がします」 山村「僕も昔は歌舞伎の役者さんって‘ええな’ってそう思っていたんですよ。でもね、だいぶ前ですが、新歌舞伎座の舞台に出して頂いて、昼夜同一演目だから、‘やった、50回も出来る’、そう思たんですけど、その中で一回、何日目かにお扇子を落としてしまったんです。けど、十代の頃でしたし、落ち込んだけど、‘まあ明日もある’、そう思うたんですね。そうしたら、その後で、何か僕の話題が出て‘あー、あのお扇子落とした人’って言われたんです」 上村「うーん」 山村「だから結局一緒。その一日一日の大切さは一緒なんですよ」 上村「うちの主人(片岡我當)も‘舞台は一期一会’って。‘その日しかお客様には観て頂けないのやから’って言います。その日しか見て頂けないお客様のためにも舞台にかけなきゃいけない、主人のその教えは物凄く大切な言葉ですね・・・」
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