----う、私も多分、はみ出す。そこに私の居場所はないです。佐藤さんは、いつも全体からこぼれていくものを見ているんですね。
「今、家族を考えたら、精子バンクを利用する夫婦や、子供を持つ同性愛者のカップルもいる。家族は、もう血縁ではくくれない。価値観の共有者でもない。でも、僕たちは身体を持っているから、どうしても空間が必要なんです。愛でもなく、血縁でもなく、共同の価値観も持たない、たまたま空間を共有してしまった人間同士の関係をどう構築していくか、それを僕はずっと考えているんです」
“今”、人は空間に縛らずに、遠く離れた他者と価値を共有している。だけど、人は空間にしか存在できない。矛盾なのか、可能性なのか。“愛のない幸せな家族”はありえるのだろうか。『ソウルスタイル』が遺したものは、けっこうずしんと身体に響く。
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