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15 京都の夏の体感温度 4

《京都の暑い夏 Hot Summer in Kyoto》講師インタビュー Vol.3

                             聞き手:宮北裕美
                             翻訳&インタビュー構成:森本万紀子 [dance+]
 

 
テッド・ストファー (ベルギー/ブリュッセル)
体操、ジャズ、バレエを経て、コンテンポラリ−の世界へ入り、ル・バレエ・セー・ド・ラ・ベー、サシャ・ヴァルツ他で踊る。'95年には自らカンパニ−を主催し振付、ビデオ作品を創作、近年はインスタレーションを用いたパフォーマンスにも取り組む。世界各地のメジャーなダンスフェスティバルとの提携アーティストとして作品を発表する傍ら、他カンパニーや、アーティストの創作にもアシスタントとして関わる。現在はウルティマ・ヴェス、ローザス、サシャ・ヴァルツ&ゲスツ等のカンパニー、各地の主要フェスティバルを始め、世界中で指導にあたっている。(提供:京都の暑い夏)




 今回のワークショップで面白かったことは何ですか?

テッド エネルギーだね。僕の教えてるクラスでは、とても強い、ポジティブなエネルギーを感じたよ。個々のレベルは違うけど、みんなが頑張ってる。もう一つこのワークショップに関して僕が好きなことは、京都という土地柄。僕は今までソウルと東京しか行ったことがなくて、京都は今回が初めてなんだけど、本当に美しい町だよ。

 京都の暑い夏と関わりを持ったきっかけは?

テッド 以前僕のところで踊っていた日本人ダンサーのタキコ(注:岩淵多喜子)に招待されたんだ。彼女は今ダンス・シアター・ルーデンスっていう自分のカンパニーを持っているんだけど、そこのプロジェクトに参加しているダンサーのためのワークショップと、オープンクラスを開くということで、東京に1週間呼ばれたんだ。それがつい先週のこと。そしてタキコがこの京都のワークショップに僕のことを話してくれたんだ。だからタキコのおかげだね。僕はずいぶん前にこのワークショップのことを聞いてはいたんだけど、正式な繋がりはなかったんだよね。

 京都の暑い夏のユニークだと思うところはどういうところですか?

テッド こういうワークショップとパフォーマンスが同時進行するようなフェスティバルはヨーロッパにもあるけど、僕が知る限り、アジアには他にないよ。きっとすごくユニークなんだろうね。僕はウィーンの「ポスト・ダンス」で教えているんだけど、そこに韓国大学から来ていた学生がいて、それでソウルとコネクションが出来たんだ。まあ、そのくらいしか知らないから、他にこんなフェスティバルがあるということに気づいてないだけかもしれないけど。

 どんなダンサーを良いダンサーと思いますか?

テッド 僕にとっての良いダンサーとは、自分の身体を知っていて、その在り方を舞台上に移行(transmit)できる人。身体を知るということは、単に空間における身体のことだけじゃなくて、動きの価値、強度の価値を知るということ。良いダンサーを目にした時のように、舞台と身体が連動していれば、その人の内部で何かが起っている。感じるんだ。いつも内部で何が起こってるか感じることが出来る。すると、自分がこのダンサーに惹かれているってことを客観的に見ている観客のようなものになるんだ。技術的な能力とか身体の柔軟性なんかは関係ない。面白いのは、ダンサーの強度と集中力、そして自分自身を知っていることだね。

 自分の身体管理はどうされていますか?

テッド 僕はけっこうたくさんストレッチをする。熱いお風呂に毎日入るよ。ブリュッセルの家にはバスタブがあるし。僕の膝にとってはベストなバスタブではないんだけど。日本のバスタブはすごく好き。素晴らしいよね。
 筋肉をリラックスさせて、ヨガもやる。ヨガとストレッチはかなりやるよ。ヨガは毎日やらないとね。そのくらいかな。

 舞台での緊張をどう利用したらいいですか? というか、緊張します?

テッド 僕も緊張はするよ。いつもじゃないけど、かなり緊張する。対処法は2種類あるんだ。ひとつは、ただ自分が緊張している状態に自覚的でいること。瞑想みたいなものだけど、アドレナリンが過剰な時はただそれに自覚的でいることだね。2つ目は、どっちにしろ自分自身に挑戦すること。アドレナリンが吹き出てる、それはポジティブなことでもあるから。ちょっとだけそれをプッシュしてやるんだ。もっと遠くへ行くために、カタルシス的に使う、って感じかな。

                                   (2006年4月27日 京都)

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