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ロビーには、維新派を撮り続けている写真家・福永幸治氏の写真が幻想的に展示してある。これは、去年の作品『カンカラ』の舞台となった岡山・犬島で撮影したもの。大きなエントツが聳える犬島の銅精錬所跡地、石切り場、海岸で白塗りの役者たちとコラボレーションした作品だ。他にも、過去の舞台写真をB倍ぐらいのポスターにして何点か展示してあった。「東京の人たちは、維新派をどーみてくれるんかなあ・・・」と思って、ロビーをうろつきながら、数人にインタビューしてみた。「あのー、維新派を見るのは、はじめてですか?」
●はい。いつもは野外劇をやっている集団らしいので、新国立劇場で何をしてくれるのか興味があって来ました。いつもは外国の翻訳劇などを中心に見ています(40代/男性)
●初めてです。友達が来れなくなったのでたまたま・・・前情報は、まったくないです(20代/女性)
●大阪の南港で『水街』を観ました。今日は神戸から来ましたの(50代/女性)
●ぴあに載ってた舞台写真をみてピンときて・・・とっても楽しみ(30代/女性)
●初めて。維新派の噂は聞いていて、いつもは遠いところでやってるけど、今回は東京に来てくれたから。これは見ておかなければ!!と思って・・・(30代・男性)
●昔、『青空』という作品を観ました。関東に来ないなあと思っていたのですが、いきなり新国立劇場なんてスゴイですね(30代・女性)
新国立劇場・中劇場エントランス。後方に福永氏の写真展。(写真/福永幸治)
 新国立劇場の“中劇場”は、関西で言うならシアター・ドラマシティとか、神戸のオリエンタル劇場ぐらいだろうか。タッパも奥行きもぐーんとあるのだけど、客席に座った印象はとても「観やすい」。取材に行った日には、冒頭シーンの“地下水路”のセットがスタンバイされてある。さあ、お楽しみの舞台裏を探検してみよう。ここからが維新派ワールドの始まりだもんね、ワクワク・・・!!まず、舞台袖から舞台の裏手へ潜りこむ。「『nocturne』は、1つの芝居で44回も装置が変わっていくんです。秒単位でシーンが入れ替わっていくという感じですね。大道具や小道具も、例年よりも量が多すぎて、全然、追いついていないんですよ。僕の知ってる範囲では一番多いかな。『ロマンス』のときの量を超えている!!」と大阪の作業場で図面を必死で書きながら話してくれた美術班チーフの木村文典さん。ああ、あのときの図面がこんな風に立体化されて、なんとか間にあったんやねーと感動しながら、出来上がった山台(=移動できる舞台装置)のひとつひとつを見て歩く。今回のセットの中で、私が最も興味あったのが「Y字路の街」。舞台の手前中央には、平成の遺物として“ケンタッキーフライドチキン”の廃屋が鎮座するのだけど、舞台の奥に行けば行くほど、商店街の看板や飾りなどが古びて、時代を遡っていくという仕掛けだ。平成、昭和、大正・・・セットの一番奥は大八車などが置かれた明治時代の軒先に変わっている。そんな山台が、舞台の裏手に何台も置かれてあるのだ。ペンキまみれになりながら、暑い中、みんなで描いていったんやもんねー、ここまで来たってすごいよねーと思いながら、さらに裏手に進む。
大八車を押して舞台にむかう役者
(写真/福永幸治)
箱ウマを移動させる、裏方スタッフ。
(写真/福永幸治)
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