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舞台袖のモニターを見ながら、音楽監督の内橋和久さん、外山 明さん、いとうはるなさんが談笑していた。そうそう、この3人、今回はかなり面白い挑戦を生で見せてくれる。メインキャストとなる3人の役者を、3人のミュージシャンがそれぞれに担当して、彼らのセリフになり、心情になりながら即興音楽を紡いでいくというもの。「内橋さんとは昔からいっしょに音楽をやっているんですが、今回みたいに、舞台といっしょに音楽を創っていくのは初めて。まだ、手探り状態ですが、面白くなる予感はしています。楽日の頃になると、ずいぶん音も変わってくるんじゃないかなあ」と、いとうさん。ちなみに、内橋さんは老人の役(木村文典)、外山さんはシンイチロウの役(森 正吏)、いとうさんはカナエの役(春口智美)を担当。それぞれの役者が舞台に出ているときだけ音を出す、というルールにしてあるらしい。オペラでのオーケストラピットは通常少し見えにくい位置にあるけど、今回のピットは、客席からもよく見える。シンイチロウが出てきたときに、外山さんのパーカッションがめちゃくちゃ小刻みに音を出しているぞー・・・とか、そういう部分をマニアックにチェックするのも楽しい。最終日の打ち上げで外山さんは、「シンイチロウ役の森 正吏さんをみかけたら、舞台以外のところでも、カラダが反応してしまうようになってしまった!!」・・・と笑いながら話していた。
音響スタッフが役者の耳にヘッドホンをセッティング中。(写真/福永幸治)
楽屋の方に進んでいくと、制作部、照明部、衣装部、作業部屋などがずら〜っと続いている。衣装部には、ミシンが10台ぐらい並んでいた。追い込みでの衣装作業もまだずいぶん残っていたのだろう。作業部屋には手直し中の小道具、廊下にはシーン別に衣装がきれいに分かれて並べられている。私が潜入した日は、ゲネプロ前だったので、すでに白塗りを済ませ、衣装に着替えた役者たちがぴょこぴょこ、あちこちから飛び出してくる。その、ぴょこぴょこ飛び出してきたジャリンコの一人、つぶちゃんこと江口佳子さんに声をかけてみる。「毎日、何食べてるん?」「ウィークリーマンションでごはんを炊いて、朝、おにぎりにして持ってくるんです。それで、近所のコンビニとかでおかずを少し買って・・・(笑)」「でも、飯場がないから、ごはんをつくる手間は省けるよねえ」「うーん・・・でも、飯場チームは楽になったと思うけど、やっぱり、維新派のごはんの方が美味しい!!」・・・それぞれに工夫しながら、東京という場所での生活を楽しんでいるようだ。美術チームのリーダー格でもある役者の升田 学さんは、「なんとかここまで来たけど、今回は、美術作業が本当に大変だったから、役づくりがギリギリになってしまって。まだまだ練っていかないと・・・」と話していた。
男優たちの楽屋。ここで白塗りをする。
(写真/福永幸治)
楽屋の廊下で最後の練習をするジャリンコ。
(写真/福永幸治)
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