ぐるっとまわって再び舞台に戻る。しかしですねえ、よく動く舞台ですよ。新国立劇場・中劇場は。たとえば、中央の直径12メートルあるという大盆が回りだすと、奥の床が動きだして、手前の床が引っ込んで、上からセットが降りてくれば、横から山台が人力でダダダーッと移動してきたりする。維新派の役者たちといっしょに、舞台装置までがパフォーマンスしてるように見える。松本雄吉氏は、「野外で出来なかったことをやろうと思ってる。野外で培ったノウハウを活かして、装置を大胆に動かしてみたい。回転舞台、山台という移動装置をフル活動させて、たとえば、カメラがお客さんの目だとしたら映画みたいに舞台にカメラが入っていって、パーンしたり、ズームしたり、回転舞台にのって360度、眺めてみるとかね・・・」。その言葉の通り、本当に、秒刻みでひっきりなしに動くのだ。「野外の場合は、地面なのでセットが動きにくいでしょう。なので、イントレに車輪をつけて動かせる装置を作ったんです。それを、僕らは“山台”と呼んでいるんだけど、今回もその“山台”を普段の5倍ぐらい使う。動くことのダイナミズムは、文句なしに面白いから。動く装置をやるためにはどういう本が必要なんだ?って逆の発想で考えて、ロードムービーにしようと思った。主人公が過去へ行ったり、海を渡ったり、いろんな場所に動いていく舞台上でのロードムービーって、オモロイやろ?それで、月だけが、ずーっと定点で輝いているというイメージかなあ」。 |