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32 箱を場に変える人々のお仕事

    DANCE BOXレポート 箱を場に変える人々のお仕事 スタッフインタビュー+秋口情報

                                         構成:メガネ

 Art Theater dBのフェスティバルゲートお別れ会から早1月半が経ちました。今号は、その間スタッフに行ったインタビューをもとに、次なる場所の獲得とこの秋以降の催しに向けて動いているDANCE BOXの近況をお伝えします。

  目次

01 issue    箱を場に変える人々のお仕事

02〜04頁は、dBのコアメンバーを支えている方々に、次の6つの質問についてお話をうかがいました。

 1. Art Theater dBで働くようになった動機やきっかけは何ですか?
 2. 実際にどのようなお仕事をされているか教えてください。
 3. 関わられた公演で一番印象に残っているのは?
 4. Art Theater dBがフェスティバルゲートでの活動を終えるにあたりどのような感想を持たれましたか。
 5. ダンスに公の支援は必要だと思われますか。必要ならどのようなかたちが望ましいと思われますか。
 6. dBの今後に期待することをお教えください。


02 interview  DANCE BOXで働く人インタビュー その1 舞台監督 大田和司さん

03 interview  DANCE BOXで働く人インタビュー その2 デザイナー 升田学さん

04 interview  DANCE BOXで働く人インタビュー その3 ボランティア・スタッフ 上田美紀さん

05 preview   DANCE BOX 秋口のスケジュール


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箱を場に変える人々のお仕事

 「数十年先に、記録に残っているだけではなく、人々の記憶に残っている劇場になっていたい」とは、dBの今後に向けたディレクターの大谷氏の言葉である。

 ここではたと気づくのは、ふだん一観客として過去の作品体験を思い出すとき、どこで見たのか、もっと言えば誰と見たのかといったことは二の次だということだ。当たり前のことながら、「誰の」「どの作品」を見るかに重きを置いて西へ東へ駆け回る観客の少なからずにとって、劇場は代替可能な「箱」なのである。それは、作品というものが不特定多数の見る人を求めて流通するにあたり、代替可能/不可能な要素を分けることで経済性を保っていることにもよるのだろう。dBも、そういう意味では流通網の一端をなす箱であることにかわりはない。ところが 前回お伝えしたフェスティバルゲートのお別れ会をみると、この劇場をかけがえのない場とする相当数の人々の存在は明らかである。つまりdBは、その動向を当事者として受けとめる人々からなるコミュニティーを持つ、稀なる劇場なのだ。

 このような一劇場の特殊性には、劇場の公共性、あるいはあるいはアートと仕事といったことがらについて考える手がかりが含まれているのではないかと思われる。前レポートでは、そういったdBの特別な魅力を語るアーティストや観客の言葉を一部紹介させていただいた。今回は、そこで多く触れられた「スタッフ力」について、様々な立場でdBに関わる人々に取材してお伝えしたい。この「箱」は、どんな人のどんな動きによって、人が集まる場となっているのだろうか。

 まずはディレクターの大谷氏に、コアとなるスタッフ(文、竹ち代毬也、塚原悠也、横堀ふみ)の人となりについて、教えていただいた。

大谷:みんな関わりたがりですね。それは、それぞれがアーティスト志向だからだと思います。僕も文も千日前青空ダンス倶楽部で踊っているし、お別れ会のビデオを編集してみたら、竹ち代があっちこっちにちょろちょろ出ている。塚原も Contact Gonzo なんかを始めたし、そういう意味では何もしていない横堀だって、大学でインドネシア舞踊を習っていたので舞台の側からものを見る。だからアーティストや作品に肩入れしてしまうというところがあるんですね。

 確かに、こういったスタッフの姿勢が、多くのアーティストとの信頼関係を結び、dBにインキュベーションの場という性格を与えているのは頷ける。だがそれにもまして興味深いことに、ボランティアも含め、dBで働く人は、舞台の表と裏を行き来する率が高い。いつも受付をやっている人がものすごい格好で舞台に登場して、度肝を抜かれることなどざらである。

大谷:そういうのはうちは多いですね(笑)。ワークショップの受付をしていても、踊りたくてうずうずしているようなのがいる。じゃあ次の機会には給料なしで、参加費も払って参加となる。ボランティアの人たちも、基本的にダンスに関心を持っているので、その中には、ダンスの経験がなくても機会があったら踊りたいという人が多い。北村成美がやっている「しげメイツ」にも、そんなボランティアから参加している人がいます。

 もちろん、踊りも仕事も一緒くたではない。仕事は整理され、スタッフを中心にボランティアを加えて体制が整えられる。そこに関わる人々が、見る側演じる側の棲み分けにも遡る劇場での役割を、機会ごとにぐるぐる巡っているのだ。組織としてのDANCE BOXは、かなり流動性を備えているということが言えるのではないか。

 ちなみにスタッフのもう一つの共通点は、大谷さんも含めて全員がボランティアあがりということらしい。現在ボランティアは登録制で常時募集しており、一度きりの手伝いからリピーターまで、これまでに70人を数えるという。その中には、現在はアーティストとして活躍する者もいる。dBは、メインで運営しているダンサーのステップアップシステムで評価が高いが、ダンサーに限らずそこを通過する者に、劇場というダイナミックな箱の総合的な体験を提供する人材育成所のようなところなのかも知れない。若いスタッフに対して、大谷氏は次のようなコメントを寄せる。

大谷:セレクションの話し合いなんかでも、それぞれの見方が違うので、意見がぶつかることもあります。でも、そういった話し合いの中で、僕自身が柔らかくなれるというか、この年になって見る目が育っていると感じることがありますね。「こういう見方をするんや」と知ることで、僕の見方に新しいものが加わる。そんな意見を他のスタッフからもらえたときは、嬉しいと思いますね。それぞれ特化した能力を持っているし、めざしてゆくところもあるので、一度目は僕がやっても、現場はできるだけ渡していきたいと思っています。

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