log osaka web magazine index

日々是ダンス。踊る心と体から無節操に→をのばした読み物


2008年4月号「踊りに行くぜvol.8 SPECIAL IN OSAKA」



制作者インタビュー(2) 小倉由佳子
■ セイサクって何なんでしょう?

神澤:制作のお仕事っていうのは、具体的にどんなことを?

小倉:いろいろ言い方があるかと思いますが、こういうことをやりたいとプランを立てて、それを現実化して、お客さんを呼んで公演として成立させることだと思います。もっとなんか、夢があるような言い方をした方がいいですよね(笑)。何かこう、言葉に出来ないモヤモヤしているようなことも含め、何かをやりたいと思っている人がいて、まぁそれは自分だったりすることもあるんですけれども、そこからプランにして必要な人材、もの、場所を集め、現実化していくことかな?

神澤:私自身も、これをやると面白そう、現実にしたらどうなるだろう? って思うことを、提示していくようなことなのかなと。でもそれは、プロデュースとはまた違うんでしょうか?

小倉:制作という言葉と、プロデュースという言葉に、明確に線引きはできないですね。企画を立てた人をプロデューサー、それを運営していく人を制作というように便宜的、立場的に分けることはありますが。英語だと、アートアドミニストレーターという風に言うこともあります。それぞれの現場によっては、演出助手や舞台監督の役割と侵食しあったりすることもありますし。さらに、劇場の制作と劇団の制作でも違います。つまり状況によって仕事内容が異なるので、制作の仕事の範囲を限定するのは難しい。ただ、企画の最初から最後まで関わる存在ということは確かです。


 
  高嶺格ワークショップ&パフォーマンス『リバーシブルだよ人生は。』伊丹/アイホールphoto:Hiroto Takezaki
 
神澤:例えばアイホールの中の役割分担はどんな風になっているのですか? 公演に対してスタッフがつくかたちになるのか、それとも広報や渉外といった仕事ごとに分けられているのか。

小倉:アイホールの自主企画に関しては、作品ごとにプロデューサーがいて、そこにさらに制作担当がつくようになっています。劇場の全体的な広報をする担当はいますけれど、各々の作品の広報は、それぞれの担当がやらないと、作品やアーティストのことをしっかり深く話せないので。

メガネ:日本の“制作”には、お金を取ってくるプロデューサー、何をどういうコンテクストにどう配置するかを企画するキュレーター、実務をこなすマネージャーの3つの仕事が一緒くたに詰め込まれていると、聞いたことがあります。

小倉:それはそうだと思います。制作の仕事は現場の状況や規模ごと、あるいはそれぞれの人のスタンスの違いで変わるものなんです。それこそ、演出助手も何もいない公演の場合は、稽古時にアーティストの横について、中身に関る相談なども引き受けながらの場合もありますし、すでに出来上がった作品を持ってくるとなると、広報宣伝だけという公演もある。一概には線引きできません。アイホールの志賀さん、今後の私の仕事は、ハリウッドの映画プロデューサーのように、ゼロから資金を集め興行的なリスクも全て負うという、そこまでは含まれていません。もちろん、どういう助成金に申請するかリサーチしたり、実際の助成金申請書類を作成したりはしますが。先の分け方で言うなら、キュレーション的な部分と、折込や渉外、製作進行、予算管理といった諸関係の調整をしながらの実務ということになりますね。

 そう考えると、「職業として制作を」と言いはしましたけれども、現実には、いわゆるアートの周りで自分に仕事として何が出来るかなと思ったときにやりはじめたこと、自分のできたことが、制作という名で呼ばれていたと言ったほうが正しいのかも知れません。もし自分が理系とか別の、例えば機械に強いとかだったら、違う道を歩んでいたと思います。技術スタッフとか? 実は私、すごい事務仕事、単純作業も好きと言いますか、得意と言いますか……。例えば就職試験でよくやる、一般職適性検査みたいな事務作業のスピードを測る模擬テストで大学時代、すごい好成績を出したことがあるんです。あと、折込のスピードも結構、早いです。なんの自慢か分からないですが……。(笑)。

<< back page 1 2 3 4 5 6 next >>
TOP > dance+ > > 2008年4月号「踊りに行くぜvol.8 SPECIAL IN OSAKA」
Copyright (c) log All Rights Reserved.