log osaka web magazine index
 

小堀:『nocturne』は、日本語で「夜想曲」。夜の情景をピアノとかオーケストラで演奏するというのが本来の意味ですが・・・。

松本:内橋(音楽監督・内橋和久)の音楽やからね、絶対、夜を想う美しい舞台〜という感じにはならんわな(笑)。

小堀:作品の発想はどこから?

松本:『nocturne』よりも先に、サブタイトルの「月下の歩行者」という言葉が浮かんだ。月は、時代を超えて存在する。その月の下を歩行する、越境するといった感じかなあ。、『nocturne』というタイトルは、歩行者を照らす月の、現在か過去かわからない光のイメージからが生まれた。まあ、久々に英語を使ってみようかと言うのもあったけど(笑)。

小堀:このところ、日本語タイトルが続いてましたもんね。

松本:『nocturne』に近い言葉で、フランス語の“ノクタンブレ”というのがあるんやけど、こっちは“夢中歩行者”という意味。夢遊病者とかね、そういう意味も含めている。

小堀:夢か、現実か、わからない場所を歩くという感覚?

松本:そう。歩く。今回は、とにかく歩き続ける芝居にしようと思っている。これは維新派のひとつの特徴でもあるのだけど、技術的には、役者たちが七拍子で歩く、五拍子で歩く、右脳を意識して歩くとかね。歩くことにこだわって、稽古していこうと思っている。それから、せっかく新国立劇場でやるんだから、いつもの野外劇場では出来ないことをやってやりたい。たとえば、ずーっと舞台装置が動き続けるとかね。

小堀:ああ、それは野外では不可能・・・(笑)。

松本:主人公がひたすら歩いて行くわけだから、当然セットも変わっていかなアカン。で、どんどん新しい風景が生まれてくるという“からくり”を創っていこうかと考えている。

2003年/新国立劇場『nocturne』舞台模型
これは松本氏の手づくり。舞台には巨大な月がぶらさがるとか!?
NEXT >>