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小堀:『nocturne』は、具体的にどんな場所になると?

松本:水偏の話にしようと思ってる。維新派のヂャンヂャン☆オペラは、すべてのシーンにテーマ音楽があるんやけど、今回は、10シーン、10曲構成。そのすべてに、水にかかわるタイトルをつけた。最初のシーンは「みを(澪=水路)」。2番目が「はこぶね」、3番目が「みずたまり」、4番目が「なみおと」・・・あとは、なんやったかなあ・・・そうそう、「みなそこ(水底)」「みずのお(水の尾=水の流れ)」「みずくに(水国)」・・・とにかく、いろいろな水路・水脈が舞台に出現する。

小堀:話の筋は?

松本:150歳ぐらいの生きているのか、死んでいるのかわからない、とある老人の記憶を、少年たちが辿っていく、といった感じかな。水の流れに沿って川を昇ったり、下ったり、海へ出たり、泥濘にはまったり、あるときは下水道を歩いていたり・・・冒頭シーンは下水から始まんのよ、都会の下水!

小堀:下水から少年たちが出てくると?

松本:下水を少年たちが走ってる。いろんな人が走ってる。中国人の密航者とか、老人とか、水の精なんかも走ってる。

小堀:聖も濁もいっしょということ?

松本:そう。聖も濁もいっしょくた。で、その地下の下水路が一瞬のうちに都市になる。地表を支えてる地下の柱が、次のシーンでそのままビルになったり。

小堀:その都市はいつの時代?

松本:今。

小堀:大阪っぽい街?

松本:大阪っぽくないね。もう少し無機質な感じ。『流星』でやったような感じかな。幾何学的な。

小堀:『流星』はモノトーンだったんですけど今回の色合いは?

松本:モノトーン。1シーンだけ、カラーにしようかと思っている。まあ「月下の歩行者」というサブタイトル掲げてるぐらいだから、夜の設定だし、あまり、カラーにはならないよね。

小堀:舞台では、水が使われる?そのあたり、維新派ファンとしては気になるところなんですが。

松本:ははは。水溜りを造ろうと思っている。『水街』みたいな大きな水ではなく、小さい水溜りがポツポツとあちこちに存在している感じかな。全部で40〜50ぐらい造る予定。

小堀:水が雨のように降ってきたりとかはしないの?

松本:それはない。

小堀:舞台から水が噴き上げてくるとかは?

松本:それもない(笑)。

小堀:みんな期待してると思うんですけどね。

松本:かなわんなあ〜(苦笑)。今回は、空間錯誤をポイントにしたいと思っているから、たとえば、街のアスファルトにできた水溜りが、最後のシーンには、モンゴルあたり大平原にあるオアシスに見えてきたりとか・・・。維新派の特徴でもある定住者と移住者の視点みたいなもんも混ぜ込んで、デジャブのような感覚を美術装置のミソとしてやってみたいなと考えている。

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