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小粒のメセナ?個人の趣味?アートを支える多層なアクターに突撃


#4:やなぎみわ×株式会社モリヤ

●「求められてこそ技術は上がる」
 

 
山口晃一さん(yamaguchi kohichi)−株式会社モリヤ製作部部長<写真左>
1956年 大阪生まれ
工場長と呼ばれる山口さんは加工や出力を行う製作部のかなめ。若い頃にフォークソングに熱中し、コンサートをひらいたこともあるそう。島川さんによれば、以前酔っぱらって、ストリートミュージシャンからギターを取り上げて歌い出してしまったこともおありだとか。

島川豊一さん(shimakawa toyokazu)−同社営業担当<写真右>
1975年 滋賀県生まれ
全く異なる職から6年前にモリヤさんの営業に転職された。ラボや作家の意見を製作部にしっかりと伝える役割を担う。学生の頃から映画が大好きで、京都のみなみ会館には足しげく通われたそう。

お二人が所属する、株式会社モリヤはダイフィットと名付けられた、写真や出力稿の後加工を担う企業。ダイジェットと命名の高画質出力から、取り付け施工までも請け負うことにも力を入れ、屋内外を問わない新しいサインディスプレイや視覚物をつくりだしている。
場所:(企画営業部)大阪市北区大淀中4-7-6
HP: http://www.moriya-difit.co.jp


T−
本日はお忙しい中お時間いただきありがとうございます。まずは、株式会社モリヤ全体の成り立ちを伺えますか?

島川(以下[S])−
現在、うちではコマーシャルディスプレイ、つまりポップや交通広告のインクジェット出力や写真加工に主力をおきつつ、やなぎさんのようなアーティストの作品加工を請け負っています。
最近はアーティストの方とは直接やり取りをすることが増えてきたのですが、一般的には写真現像のラボを通した受注加工をしています。

山口(以下[YM])−
もともとは、新大阪の近くで硝子食器を中心とする雑貨の卸業で、現在の大阪ヒルトンホテルにあったアートフラワーと輸入服飾品の販売店、そしてダイフィットつまりは写真加工を手掛ける会社でした。

T−
全く異なる分野を手掛けておられたのですね。共通点はあるのでしょうか?

YM−
いえ、全くの異業種です。きっかけは30年前、ディスプレイ製作用途の特殊な粘着材の研究者の出資依頼でした。その方を顧問として迎え、開発・完成に多大な資金と時間を要しましたが、一つ一つ難問を解決し、ダイレクトフィッティング=ダイフィット加工を確立し、大阪・東京にてさまざまなお客さまにご支持をいただいています。

T−
ということは、加工の技術や方法を一から試行錯誤されてこられたのですね。

YM−
そうです。当時ラミネート加工のためにつくり出した機械は未だに現役で使っています。その機械には、いろいろな箇所に穴が空いているのですが、それは全て当時の人の実験の軌跡なのですよ。実は、現在使用している私達も、この機械の原理でわからない部分が多く、絶対に壊れないように大切に扱っています。
 

 
あとは、私達に求められるクオリティーの重要なもののひとつに加工の「耐久性」があります。それは写真と板を接着する糊の具合が決め手になるのですね。写真は色褪せするものですが、特に劣化しやすい赤色を保つような糊の開発には大きな努力が必要でした。

S−
なんせ、糊は直接写真に触れるものです。印刷技術の向上やお客さまの要望に合わせてカスタムをくり返さなくてはいけません。今は対応のよい小回りの効く会社とやり取りしながら研究をしています。

T−
すごい!それが現在、あの駅で見るような大きな広告やアート作品を扱う会社になるわけですね。
山口さんはもともと、写真加工などにご興味があって、今の職につかれたのでしょうか?

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