日々是ダンス。踊る心と体から無節操に→をのばした読み物 |
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26 京都の暑い夏2007ドキュメント Vol.1
自分の身体に気づく
レポーター:竹田 舞姫
写真:佐藤圭一郎
Dance Method A-3 5月2日(水)〜5月6日(土) 13:30〜15:30 全5回
[概要] 骨格や筋肉の構造への理解を促しながら丁寧に身体を立ち上げていき、緻密なムーブメントを、ダンサー自身の解釈や講師の指示により変容させていきます。
*尚、このプログラムはアンジェ国立振付センター/コンセルバトワール研修プログラムの選考も兼ねています。
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エマニュエル・ユイン(フランス/アンジェ)フランス・アンジェ国立振付センター(CNDC)の芸術監督。造形作家や音楽家など異なった分野のアーティストとの共同作業を精力的に行うなど、鋭い批評的まなざしでダンスの再構築を進める彼女は、ドミニク・バグエ、トリシャ・ブラウンなど多くの著名な振付家の下で踊り、エルヴェ・ロブ、オディール・デュボックなどと共同作業を行う。'94年にはヴィラ・メディチ海外研究奨学金を得てヴェトナムで創作。ボルドー美術館、ヴェラスケス美術館など美術館でのパフォーマンス企画も多数。'01年にはフランス政府派遣アーティストとして京都に滞在、京都芸術センター「第1回クリエイターズ・ミーティング」に参加。(提供:京都の暑い夏/Photo: Juliette Butler)
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身体って、本当に不可解です。
皆さん、自分の身体のことを知っていますか?
私は現在大学院生です。9歳からダンスを始めましたが、いまだに全然踊れないんです。ぶつ切りみたいなダンスしか出来ません。流麗に動けないんです。それに、ダンスや身体のことを我流で深めたいって思ってもなかなか……。
だから専門家の力を少し借りようと思って、このエマニュエル・ユイン先生のワークショップに参加しました。
■ ワークショップのながれ
先生は始めに、「このクラスでは、“立つこと・身体を立ち上げていくこと”について、“正しく立つこと”を目的にプログラムされたヨガを基本としてワークを行います。基本的で簡単なワークをいくつか紹介します」と説明をしてくれました。先に「何をするのか」というのを示してくれる先生で、安心してワークショップ(以下、WS)に取り組むことが出来ました。
WSでは基本的に毎回呼吸を意識して行うことから始まり、そこから腹筋群・脊椎・臀部周辺の筋肉・腰部の筋肉群・ハムストリングなどを丁寧にストレッチングしていきました。なお、このウォーミングアップのプログラムは5日間の中で4日ずっと行われました。
また、一見すると単純なウォーミングアップの運動(ボディワーク)を行うにあたって、エマニュエル先生は「この動きは、どこの骨・筋肉を刺激しているのか」といったことをしきりに受講者に伝えようとしてくれていて、ボディワークを筋肉・骨格レベルで精確に行うことが大事だと教えてくれました。
ボディワークを入念に1時間した後は、ウォーミングアップでの動きを踏まえて各自がムーブメントを深めていきました。ムーブメントを深めることは、作品の創作(クリエーション)においては欠かせないことです。この一連のWSのながれは、ボディワークとクリエーションの切り離せない関係を念頭に置いたエマニュエル先生ならではのものだったと感じました。
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■ エマニュエル先生は「尽くすタイプ」!?
ボディワークの間、エマニュエル先生は受講者に身体の動きをその時々の骨や筋肉の様子を細かく解説してくれました。さらに、必要以上に背骨を縮めてしまったり、胸を張りすぎたり間違った身体の使い方をする受講者の身体を、遠慮しながらも直接触って直してくれたり、丁寧な指導をしてくれました。言葉も尽くすし、丁寧に身体を直接直してくれるし、本当に尽くしてくれる先生でした。
フランス人だけど、英語で私達に動きのニュアンスや具体的なアドバイスを一生懸命伝えてくれました。もちろん、WS中ずっと通訳の人もいて、先生の英語を日本語に訳してくれて助かりました。
エマニュエル先生はWSの間中、ボディワークもクリエーションの時も、常に身体を自分自身で「視覚化」してコントロールすることを強調していました。やはり、身体の動きを観てもらう踊り手にとって、「お客さんからどのように見えているか」を正確に把握することが大切なんだろうなぁと感じました。
また、上半身を反る時にも、背骨・腰が痛くならないようなやり方を教えてくれるなど、身体に無理を掛けない身体の動かし方・使い方を教えてくれました。私はWSに5日間通ったのですが、いつになく調子が良かったです。腹筋・側筋・腿の裏に筋肉痛を感じたりしましたが、「普段以上に身体を使えた」「効果を十分に感じられた」ということでしょう。
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■ ワークショップを通して……私の変化
私は、このWSのボディワークを通して、「動きの全ては身体のある部分から生み出せるもの」ということを学びました。とくに脊椎を意識するワークを経験することで、「動きは、本来的には『身体の状態の変化の連続体』としてつながっている。動きは連続性を持っている」と感じることが出来ました。WSでの動きの経験が、私に新たな「身体への気づき」をもたらしてくれました。
私はダンスを踊っても、ぶつ切れの動きしか出来なかったのですが、WSを受けてからは「動きの連続性」を骨や筋肉のレベルで意識してスムーズに動けるようになりました。
今までたくさんのWSを受けてきましたが、即興などで動きを作り出すことが苦手でした。今回初めてボディワークを基にして、自分で動きを考えて踊れたことはとても嬉しかったです。
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京都の暑い夏12thを終えた今、WSで身に付けた知識や感覚が、毎日バレエのレッスンでの動きに対する認識を塗り替えてくれたのを感じます。WSで「動き」の意識改革がなされるなんて思いませんでした。そして、呼吸のリズムを変えて身体の内側をマッサージすることや、脊椎をやわらかく使ったりすることを、日常の自分の身体のケアにも使っています。今回、今まで受けたWSの中で一番充実した5日間を過ごすことができました。
一番近くにあるはずなのに、なかなか分からないのが自分の身体です。先生の力を少し借りて「不可解な身体」と知り合い、付き合っていくために、あなたもボディワークのWSを受けてみませんか?
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