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日々是ダンス。踊る心と体から無節操に→をのばした読み物


08 2005年、金粉ショー復活!

+ではキャバレーを復活するお話について。竹ち代さんは私と同じでキャバレーを知らない世代ですよね。「アートキャバレー」という企画をされた意図は?

竹ち代:はい、キャバレー知らないです。だから、なにかロマンの場所。(笑)
 それと、今話を聞いたような社交的な意味合いも関係してきます。ふだんここでダンスを見に来るお客さんは、アートとしてのダンスを見に来るわけで、それはそれでダンスボックスの一つの事業の要としてあるんだけれど、それとは違う企画として、「アートキャバレー」のような、言ってみればイベント企画的なものがあることが面白いと思っています。この劇場はコンテンポラリー・ダンス、別の場所でキャバレーというのがあるんじゃなくて、ここが表の顔と裏の顔を持っているということが、僕はすごく大事だと思う。
 それは、出演者に対しても思っていて、例えば今回で言えば黒沢美香さんが風間るり子(黒沢美香がつくりだした「自らを否定/偽装するために」つくりだした別名)で、僕らも、ふだんは違うそれぞれのダンスを作っている者が集まって金粉ショーをするでしょう。これ、アートキャバレーで「黒沢美香」さんに踊って下さいっていうのは、なんか違うと思うんですよね。それだったら、ダンスボックスでお願いしますって言う。でもアートキャバレーでは「風間るり子」が見たい。こんな風に、アートキャバレーの性質として、出演者の方が普段やっていることとは違う何か、ひねりというか、その人のもう一つ別の顔とかを出せる、出してもらえる場であって欲しいと思っています。今回マンボボを選んだのもそういうこと。
 あと、2回目をやったとき、上の階のCOCOROOMをやっている詩人の上田假奈代さん、そしてロヲ=タァル・ヴォガの草壁カゲロヲさんに、二人とも言葉を使う人なので、パフォーマンスのシーンを作ってもらいました。この二人が一緒に出演するという、なかなかなさげなことを実現できたのも、アートキャバレーだからこそですね。さらにその時出演したブリキサーカスと、ベリーダンスをやっている女の子二人も、アートキャバレーでたまたま知り合い、それをきっかけに今一緒に活動していたりするんです。だから、アーティストとお客さんが一体化して、そこにお酒と食べ物があるという意味での社交場でもあるし、アーティストとアーティストがそんな風に知り合って、何かが生まれるというのも醍醐味ですね。今回なら金粉ショーがその一つのかたちとなるわけですが。もっと大きな目で見たら、アーティストにとって、自分のダンスを突き詰めるふだんのダンス公演に対して、いわゆるアート的なものとは違う別の道筋を持つことは大事だと思う。アートキャバレーはそういう道を用意する場で、実際にそこで新しいユニットが突然変異的にできたりしている。お客さんも、両方を選んで行ったり来たりできるほうが面白いと僕は思っていて、「アートキャバレー」で、ダンスボックスのお客さんにその一方を提供したいと思っています。

大谷:まずは、歌舞伎がお弁当食べながら見ていたように、飲食ができるということが一つのポイントだったんですね。ふだんのダンスだと、お客さんは緊張して舞台を見ているわけじゃないですか。それに対して違う状況を作りたかった。もう一つは、キャバレー・ボルテールのように、様々なジャンル、かたちのものを一緒に見ることができるということですね。竹ち代が言ったように、アートとしてのダンスと違う可能性を求めた人たちがここにやって来、コラボレーションすることで、何か新しいものが生まれてくるだろうし。まあ、キャバレー・ボルテールのように、世界的に逼迫している状況じゃないので難しいかも知れませんが。そういう遊びがしたいなということです。もう一つ大事なのは、大きな劇場ではできないことができるということですね。キャバレー・ボルテールの時代の劇場は大型化して、小さい作品ができないといった状況から、オルタナティブなスペースとしてキャバレーが出てきたことがあります。新しいものを生み出す仕掛けとして。

+現在もキャバレーを冠したイベントをされるには、似たような意味がある、と。

大谷:もちろん、今は規模として小さいスペースなんかはすでに一杯あるんですけれどね。ふだん、コンテンポラリー・ダンスという一つのカテゴリーのもとにコミュニティができたときに、その中でシステムができてきます。ダンスボックスの中でも、「DANCE CIRCUS 」から「 DANCE BOX SELECTION 」に選ばれて「 one − Dance 」(※ダンスボックス独自の、アーティスト育成のためのステップアップシステム)へと向かうように。それにはいい面も悪い面もあって、システムができるからこそアーティストが育っていくということがある反面、そういうところに落ち着かない表現も出てくると思うんですよ。それが、同じ空間であってもアートキャバレーのような枠組みを設けることによって、黒沢美香が風間るり子になるようなことも起こるでしょうし、普通のダンスサーカスにはよう出ないけれど、アートキャバレーやったらでれるといった人たちも出てくると思うんですね。そういうところが面白いですね。

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