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AnN-shitsu presents シキのコンクリート《散文抄》 2005年11月05日-06日 築港赤レンガ倉庫315
プレテクスト《散文抄について》


シキのコンクリート第二章(秋)を担う『散文抄』は、恋の死。散文は散っていく手紙の様を指す。その手紙は恋文でなければならない。そして恋は古語では【古恋】と表記し、喜びにはならず、悲しさ、苦しさ、泪などと結びつく想いでである。

今回は、音楽・衣装・舞踊という三要素を合わせた表現形態をとる。三要素のどれも主役として同列に捉える。伝統芸能的ともいえる基本的な舞台芸術の表現形態を、古典的ともいえる悲恋のイメージを、それが持つ優雅絢爛たる美の方向を、いかにこの現代に表出させうるかという試み。

舞台となるのは赤レンガ倉庫。
『散文抄』で紐解く恋の死は、その赤レンガ倉庫で描き出されていく。

「かつて、恋にしかかからない病が流行し、大量の恋が死んでいった。
それは幾重もの恋文が散っていく様に、白秋に手向けられる。」

恋の死とは…

皮膚が倦怠と共に剥がれる前の、
静謐だけを纏ったあまりに露わで無防備な
身体の死である。
つまりは無垢そのものの死であり、
日に曝されるあの洗濯物のように甘美である。

text by fuca(AnN-shitsu)
 





シキのコンクリート「散文抄」
2005年11月5日(土)・6日(日)
※二日間公演(各日二幕構成)

〈会場〉大阪・築港赤レンガ倉庫

〈ダンス〉
東野祥子(BABY-Q)
山本泰輔 (BABY-Q)
黒子さなえ
木村英一

〈演奏〉
第一幕:波多野敦子
第二幕:mujika easel

〈衣装〉田川朋子(SEN)

〈企画・制作・主催〉
AnN-shitsu(アンシツ)
http://www.ann-shitsu.com/

〈共催〉
NPO大阪アーツアポリア
http://www.arts-center.gr.jp/
東野祥子 yoko higashino
ダンスカンパニーBABY-Qのコレオグラファー、ダンサー。身体から織り成される感情の起伏や衝動、個々の人間の本質をダンスの根底に置き、ダークかつカッティングエッジな電子音響と機械仕掛けの硬質な美術、様々なモチーフの交錯する舞台を創りだす。ソロダンス活動として、煙巻ヨーコ名義で即興アーティストとのセッションをギャラリー・クラブ・ライブハウス・野外等で展開。2004年《TOYOTA CHOREOGRAPHY AWARD 2004》にて『次代を担う振付家賞』を受賞。2005年《横浜ソロ×デュオ〈Competition〉+》にて群舞部門グランプリ『未来へ羽ばたく横浜賞』を受賞
http://www.baby-q.org/

山本泰輔 daisuke yamamoto
インディーレーベルnoovie records、tuba...diskのバンドスタッフとしての活動を経て、クラブで躍りまくりだした2003年に東野祥子のダンスをイベントで目撃、衝撃でブッ飛ぶ。様々な縁があり、2004年よりBABY-Qに参加、ダンサーとしての活動を開始する。また、BABY-Qのウェブサイトやフライヤーなどの宣伝美術も手掛け、グラフィックデザイナーとしても活動。まとわりつく自制心と感性に抵抗する圧倒的音象を求める。

黒子さなえ sanae kuroko
NYのマーサグラハムダンススクールに留学。その後、ビッキーシックやアイリーンハルトマンなどからリリーステクニックを学ぶ。主なソロ作品に『天−空』(坂本公成演出)、『海があふれても山が崩れても』など。『天−空』は2000年リヨン・ダンスビエンナーレに招待され絶賛を受けた。写真家モトキシノブとの合作『fwa-pwa』(展覧会/限定写真集)、様々なミュージシャンとの即興シリーズ『オトノカケラ』、mama!milkとのプロジェクト『青の深層〜Deep Layer of Blue op.4』など、最近では、他分野のアーティストとの〈間〉に生まれくる世界を探索している。

木村英一 eiichi kimura
ダンスカンパニー「モノクロームサーカス」にて活躍した後フリーに転向、清水啓司振付演出作品や愛・地球博にてマイムカンパニー『水と油』演出作品に出演。現在は活動ペースを落とし、画家・ミュージシャンらとの即興のコラボレーションや、自身の企画によるイベント等で踊り、非劇場空間においてダンスやパフォーミングアーツがあらゆる方向性に対してのコミュニケーションツールとして作用する可能性に関心を深めつつ活動を続ける。

波多野敦子 atsuko hatano
弦楽奏者。ヴァイオリンを中心に、スコアのある音楽からインプロまで幅広い音楽を作曲、演奏。2003年、1stアルバム『13の水』を制作。2004年、ぴあフィルムフェスティバル入賞作・遠藤尚太郎監督『偶然のつづき』の音楽を制作。また、画家nakaban氏とのコラボレート・アニメーション『3つの箱』を制作、ライブ上映。ストリングス・アレンジャーとしての活動ではego wrappin’、THE miceteethらの作品に参加。その他、チェロやヴァイオリンでトウヤマタケオ、mama!milkなど、多くのアーティスト作品にも参加。三文オペラ・ユニット、デグルチーニのメンバーとしても活動中。
http://www.hatanoatsuko.com/

ムジカ・イーゼル mujika easel
1978年、通天閣の麓に大阪のパリジェンヌとして生まれ、幼少から音楽に親しむ。いくつかのバンド活動を経た後、凝縮された時間の中で動く子供のような生き物、「映糸」を結成、アップライトベース&ボーカルを担当。その後、mujika easelソロプロジェクトとしてピアノと声での演奏活動を開始。管弦楽器、電子音などを扱う音楽家達と共に、関東・関西を中心にライブ活動を行う。その他、インプロヴィゼーション、ダンサーとのセッションなど多方面で活躍。クラシカル、音響、即興性を持つサウンドと独自の声の佇まいは、儚くも力強く、美しき問いかけのような響きをたずさえて存在する。
http://www.mujika.net/

田川朋子(SEN) tomoco tagawa
兵庫生まれ。服飾デザイナー。モード学園卒業後、自身のブランド「川(SEN)」を設立。2001年春夏、2002年秋冬と大阪コレクションに参加。2003年より刺繍作家である長野訓子との共同企画による『senn + nico』展などコラボレート活動を開始、またmama!milkなどのステージ衣装の制作も手掛ける。「時代の流れに関係なくとうとうと流れているもの、そういう不変的な服であること、人が動いてはじめて美しい服となること」をブランドコンセプトに、立体裁断により創り出されるこれ等の服は、身体に寄り添い、まとわりつき、形をつくる。
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