んー、その頃の憧れの噺家さんとかは? 英華「そらもうっ!春團治(=三代目)師匠っ!!!」 あー、ちょっと色気のある芸風が好きなんや。それが中学ですか? 英華「小学校の時から。『道頓堀アワー』見てて」 (笑)小学校の時から色気のある芸が好きですかっ! 英華「んで、中学校の時に、ものっすっごいお笑い番組が増えたやん」 はい 英華「ラジオで、土曜日やったら、昼から、『ジャンボサタデーMBS』いうの、やってたし、お昼の寄席が1時間か2時間、漫才やら落語やらが流れてたし、夜は、9時半から『パルコ10円寄席』」 よぉ覚えてはりますねえ 英華「そんで、遊んでたグループの中にも寄席の好きな子ぉがおって、“交換日記しよう”言うて。それが、今日はいったい何本、寄席の番組を聴いたか、いう(笑)感想文を書いて(笑)」 普通、女の子の交換日記に書くことちゃうと思う(笑)。インターネットの落語サイトの掲示板みたいやないですか(笑) 英華「そうそう、掲示板みたいなん。“誰々の落語を聞いたが、マクラではウケるが落語ではウケない”とかな(笑)」 うぅわっ(笑) 英華「嫌な中学生やったよ〜(笑)。ほんで、ぼちぼち落語会に行きたいなと。その頃は、落語家になりたいという強い決意があったので」 それは中学の… 英華「中2の終わり。その時分のちょっと前に、『米朝落語全集』が何枚組かで出て、円都師匠との対談が付いてくるというのんがあって。あれ高価やったんかなぁ、お父ちゃんのお友達が三人でお金出し合うて買いはって、それをテープにダビングして。それを私、ずーっと聴いてたなぁ。せやから、私、この世界に入って、ハメもんのネタなんか苦労せぇへんかったんは、それで全部、きっかけも覚えてたから」 相当な数のネタですよねえ… 英華「それ聴いてて、なんと落語っちゅもんはおもろいもんやねやろ。すごいなと思ってね」
で、その普通の(笑)女子中学生は、噺家になると決意して、どうしたんですか? 英華「うん。弟子入りに行ったよ。角座へ」 えっ、いきなり!?どなたのところへ? 英華「楽屋へ行って、“すんません、春蝶(しゅんちょう)師匠いらっしゃいますか〜?”て、楽屋のおばちゃんに言うて」 桂春蝶さん? 英華「うん。私、春蝶師匠が好きでね。ほんで、終わるまで待ってて、んで、法善寺横丁の<路(みち)>へ連れてってもうて」 それが<路>さんへの行き始めですか? 英華「うん。こないだ訊いたら、マスター、その時のこと、覚えてくれてはったよ。“そういえば、”ここに座っとったなぁ”言うて…。んで、春蝶師匠が“いくつや”て訊かはって、“はぁ、14です。中3になります”言うたら、“今、お客さんのほうがなぁ、大学出て聴きに来はるから、高校へは行っとくほうがええで”言わはって。これは師匠からの命令や、と思うから、それから受験勉強したんや(笑)。私、噺家になろうと思ってたから、勉強もなにもしてへんかったもん」 で、高校へ入ってからは? 英華「その間に、落語会とか、あっちこっち行った。ほんで、高校2年生…んー、3年生になるっていう春休みに“もうあと1年で卒業しますっ!”って言いに行ったら、“なんや、オマエまだ…しつこいやっちゃのうっ”言われて(笑)」 あきらめたと思ってたのに!あははははは(笑) 英華「(笑)やっぱりびっくりしはったみたいよ」 それまでは訪ねて行かずだったんですか? 英華「いや、時々行ってたよ。“遊びに来たらええがな”って言うてくれてはったし」 で、どないでしたん? 英華「うん。せやけど、どうしても女の弟子は取られへん。“頼むさかい諦めてくれ”って言われて」 うーむ。なんかそこにいろいろありそうやけど(笑)。春蝶師匠もまだお若かったやろし(笑) 英華「(笑)私が行った時、34、5やったかな」 奥さんいてはるのに、こんな可愛い弟子取ったら、そら、アブナイわ(笑)。