気がつけば、5時間ほどしゃべりっぱなし。
それでも話は尽きない。
一つ一つの逸話が臨場感たっぷりで、セリフごとお聴かせできないのが残念だ。
英華師匠は、私にこう言った。
「芸に関わってる人間は、みんな芸人や。あんたも芸人なんやで」
落語が好きで好きで、噺家を蔭で支え、これからも支え続けてゆく人だけに、その言葉は、私にとって、いろいろな意味を含んでいるようで、そして、何よりも嬉しかった。
噺家に憧れた少女が、巡り巡って、寄席囃子という、噺家にとってなくてはならない、というより、噺家と一体になって舞台を創る裏方になった。
ほんまに好きで好きで堪らん世界に生きている喜びが、全身から伝わってくる。
だから、ひたすら自分を磨きつづけているのか。
その姿勢は、貪欲で、だが、あくまでも謙虚だ。
<寄席囃子>、<女道楽>の内海英華。
ここにも、<一期初心(いちごしょしん)>の道を行く人がいる。
※一期初心(いちごしょしん)…生涯、たゆまず芸の高みを追求し続ける、能役者のあるべき姿を世阿弥が表した言葉。その時々の初心(=グレードが上るごとの、謙虚で緊張した気持ち)を忘れなければ、終生、芸は衰えないという。 |