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 people料理人シリーズのお一人目は、松尾豊子(まつお・とよこ)さん。
 実は、log-osakaには何度か登場してもらっている。
 <<なにわ花かがみ>>の桂米朝さんと竹内駒香さんの対談の中に、そして、女将兼料理人である松尾さんの店、割烹『豐』(とよ)は、<<ぶちの独り言>>の「ごあいさつがわりに」の中に、また、<<花形能舞台>>インタビューの場としても使わせていただいた。
 <<料理人>>として、どなたを取材させていただこうかと考えた時に、ほかの誰でもない私がインタビューをするならば、最初はこの人しかいないと思った。

文:石淵文榮

 松尾さん…いや、この呼び方はなんだか違う人のような気がするので、豊(とよ)さんと書かせていただこう。
 豊さんは、大阪天満宮の表門前、天神祭のメインストリートで、カウンター式の割烹『豐』を開店して、昨年めでたく30周年を迎えた。
 母の敏子さんは、北新地の名妓、西川流の踊りの名手といわれた幸葉(ゆきは)姐さん。
 その敏子さんがこの地で始めたのが、料理旅館『松尾』だった。
 ご紹介のお客さんだけ、つまり、この店に入るには、常連さんの紹介がなくてはならないのだが、けっして<<一見さんお断り>>的な敷居の高さはなく、いつ行っても、ほんとうに寛げる気持ちのよい店である。
 豊さんとの出会いは17、8年前。
 名古屋の熱田神宮へ能を見に行ったとき、「きっと気が合うと思うから」と紹介されたのがきっかけだった。

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