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日々是ダンス。踊る心と体から無節操に→をのばした読み物


2008年6月号 京都の暑い夏2008ドキュメント



                 念願の初イニャーキクラス!!

                                    レポーター:ふくいさちよ


Contact/Partnering D-3 4/26(土)〜5/5(月・祝) 全9回
*5/6(火・祝) 16:00〜ショーイング 
[概要] ベルギーダンス界の寵児ヴィム・バンデュケイヴュス率いるカンパニー「ウルティマ・ヴェス」。そのカンパニー独自のパートナリングを学びます。フロアー・ワーク、パートナリング、グループでのコンポジションなど、日々の課題に沿って参加者間で分析・議論を重ねつつ発展していきます。感情によって引き出される動き、動きによってわき上がる感情、感情と動きの関係をテーマにハイヴォルテ−ジなエネルギーに触れることになるでしょう。最終日にはショーイングも行います。





 
  イニャーキ・アズピラーガ(ベルギー/ブリュッセル) 身体と身体が限界において対峙する際に生まれる測り知れないエネルギー。その未知のエネルギーを循環させその渦に人を巻き込む彼のクラスで、動くことへの衝動を抑えることはできない。バスクフォーク、クラシックバレエ、モダン、コンテンポラリー・ダンスを学び、ダンサーとしてヴィム・ヴァンデケイビュス、マチルド・モニエ、スペイン国立バレエ他、多くの一流カンパニーの作品に出演。ブリュッセルを拠点にヴァンデケイビュスの振付アシスタントを勤める他、ニード・カンパニーなど多くのヨーロッパのカンパニーにレッスンを提供している。パフォーマー、WS講師として数々の経験に裏打ちされた魅力溢れるレッスンが好評。(提供:京都の暑い夏)
 
 

 
                                    写真:森本万紀子

 今回イニャーキクラスを初受講。イニャーキクラスは今回で暑い夏フェスティバルは4年目で、30人近い受講者には、イニャーキ経験者も多いようだ。以前観たイニャーキのクラスのshowingでは、エネルギーのあふれる動き、パートナリングにぐいぐいひきこまれたのを覚えている。今年はそんなあこがれだったイニャーキクラスに、わくわく・そわそわと、「体力もつかしら……」って不安と、パートナリングへの緊張をかかえながら、ついに10日間のワークが始まった。
 ワークの始まりは、まず走る。息があがってしまうまでがっつり走る。そして床へ。始まりは毎回フロアワーク。床に寝ると、講堂でも狭いくらい。
 ウォームアップのフロアワークのあと、イニャーキの「Shoes!」のかけ声で、全員スニーカーを履く。前半はいくつかのフレーズを教わった。相手の肩にひっかかるようなリフトや、動きの主導権が瞬時に入れ替わるように見せる動き、相手を物のように扱うワークなどなど。
 リフトのワークで大事なのは、お互いに信頼しあって、本当に相手といっしょにやること。くり返してやるうちに、相手との境目がられ感じられなくなるような感覚の瞬間を、一度だけだけど味わうことができた。相手を物のように扱う、見せるワークでは、ペタンク(鉄球を的に近付けるように投げて遊ぶゲーム)をやった。パートナーを投げる。投げられる。物になる。物に見えるように動かないんだけど、動く。見えないように自分の身体を支えなければならない。もちろん本当に集中していないと危険なワークだ。
 んんん〜! どれもとても難しかったけど、動きの発想も、動きも本当におもしろくて、お手本ワークを見せてくれるたびに(毎回、イニャーキとj.a.m.の森井さんがやってみせてくれる)私は「うっわ〜」と開いた口がしばらく閉まらないくらいに、しばらく見とれてしまっていたのでした。それからきっちり口を閉めなおして、新しいワークが始まる。いっぱいいっぱいだったけれど、ただただ新しいことに挑戦した。
 

 
                                    写真:町田佳代子
 

 
                                    写真:山分将司

 ある日のフロアワークで、仰向けになった状態の頭の位置を瞬時に180°頭と足を入れ替えるという動きで、私はどうしても1つの動きでは向きを変えられずにいた。何回やっても動きが2段階になってしまう。
 受講者の中のひとりが、「腕はどうって使っているの?」という質問をした。するとイニャーキは「例えば、舞台上で一人だけ逆向きになってしまっていました。どうしても今すぐ向きをかえなきゃ行けないって時、どうする?」と聴き返した。舞台上で……、私ひとり……、今すぐ! なんていうヒヤヒヤする状況をありありとイメージして、動いてみる。「そう、その動き」とイニャーキ。……あれ。確かにさっきよりスムーズ。「右手はこう、左手はこうやって……」と言うこともできるだろうけど、イニャーキのクラスではこうだった。こういうダンス、こういう振りということではなくて、例えば向きを変えるという目的のために身体をどう使うか、動いてみてどういう動きになっているのか、どういう動きにしていけばいいか。私には自分自身で自分の動きを改めてじっくり観察し、外から見て考えるような、その「考え方、やり方」のようなものを教わった時間でもあった。
 魅力的な動きの裏に見えないように隠してあったしかけをちょっとのぞくことができた、毎回新しいことづくし、驚き通しの10日間でした。

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